第9回TOPANGAチャリティーカップ ボランティアレポート

では、ここからは当日の時系列に沿って問題点を挙げていきます。

設営

一連の問題のほとんどがここに集約されます。

設営上の問題

①PS4が未アップデート ②机配置、電源供給ラインなどが書かれた配置図面ナシ ③PS4・モニター・音声分配器・ヘッドホンなどの機材設営が当日その場での説明から、ボランティアメインで行われた ④電源コードの養生(フロアへのテープ固定)が不十分で、引っ掛かりによるソケット抜けが多発 ⑤急遽用意されたRed Bullゲーミングボックスのセッティング説明がなく(あっても場当たり的)設営にとまどう

他にも細かい案件はあったでしょうが、まとめるとこれくらいでしょうか。 順に説明していきます。

①PS4未アップデート

この件は伝聞と推測であることをご了承ください。 まず用意されたPS4が未アップデートだった原因は分かりません。手配上のミスであったであろうとしか言えません。 なお、当初用意されたPS4も32台しか無く壇上の分が不足していたり、本体だけで電源ケーブルが無かったりするなどの問題が起こっていました。

②配置図面

会場を使うイベントならば、事前に机や席の配置を図面化してスタッフで共有するのが普通です。さらに電源供給は、供給量と配線を事前に定めないと大きな事故につながります。

当日はいきなり設営中のフロアに案内されましたが、机の配置がバミリ(床に養生テープ等を貼って配置を記す)されずトラックヤードから運ばれてきた荷物がフロア中央に置かれました。 「えっ、これって机配置場所では?」と激しく疑問に思ったのですが、図面も配置されず朝の初期パニックから口に出すことができませんでした。 しばらくして「机の位置を今からでもバミっては?」とスタッフに申し出たのですが、「それよりアケコンにTOPANGAって書いたテープを貼って」と受け入れられなかったのは覚えています。 結局、荷物置き場にあるべき机はそこからずらして置かれ、その状態で机上にゲーム機材を設置。荷物がはけてからそろ~っと機材の乗った机ごと動かすという状態でした。

この時点で「このイベント、アカンやつや……」と思い、正直もう帰りたいと思ってました。 でもここで帰って見捨てたらFGCとのつながりが無くなる、と我慢しました。

本当はあの時点で自分の知識と経験でいろいろと口出しをしてリーダーシップを取るべきだった。 でも、誰とも面識がなく一ボランティアとして参加した立場では、さすがにその勇気はありませんでした。 それに事前説明や資料がない状態では限界があり、間違った指示を出してしまう危険性が高い。

そんな思いで、邪魔になりそうな荷物を人知れず脇に運んだり、率先して机を並べ直したりなどをしていました。

③機材設営

選手のプレイに直結する環境がこんなアバウトに作られるのか、と驚きました。 さすがにスタッフがその場で一連の説明はしたようですが。 ようです、と言ったのはその説明は自分が他の仕事をしていた際に行われていたようで聞けなかったのです。 仕方なく、完成されたであろうセットを観察して自己学習しました。 なお、こんな状況なのでモニターや音声の起動確認、ましてやラグチェックなどできていない状況でした(壇上のセットはさすがに行われていたかも?)。 今までCPT配信やTwitterなどでラグに関しては見聞きしてきましたが、いざ設営する立場になると自分の無力さに呆然とするしかありません。

④電源コードの養生

実は、「養生した方がいいですよ」と自分がスタッフの方に伝えて、初めて養生しようという動きが始まりました。放っておいたらと思うと寒気がします。しかし、残念ながら不十分だったようです。 振り返ると、電源口はフロアには埋設されておらず、ステージや壁から電源コードを引いていました。ライブ会場という性質から、かなり不便な状況であったことは否めません。

⑤Red Bullゲーミングボックス

伝聞の積み重ねで聞いたことは、「PS4が未アップデートで使えない状況だったので、野試合用にお願いしていたゲーミングボックスを追加で大量に持ってきてもらった」です(あくまで伝聞)。

設営~開場時の状況

ここで自分に限ってですが、設営から開場あたりの流れも記しておきます。

設営終了後にスタッフの指示で休憩をしていたのですが、フロアに戻ったら設営したPS4がことごとく無くなっていてパニックになりました。その頃には遅れての開場がされており、フロアは選手たちがあふれています。壇上ではつなぎとしてTOPANGAメンバーによる選手達との組手と、そのスクリーン投影が行われています。

しばらくしたらスタッフに動きがあって、運ばれてきたゲーミングボックスをトラックヤードから運ぶよう指示が出ました。なぜかは全く分からなかったのですが、とにかくPS4の代わりなのだろうと無理やり解釈しました。

なお、PS4が未アップデートで会場のどこかで数台ずつアップデート作業を行っているらしい、というのはしばらくしてから伝聞で聞きました。この時点では知りません。

さらにここで、荷出しを優先したいRed Bullスタッフの方と、運んだゲーミングボックスをその場でセッティングし始めるボランティアの間での意思疎通の齟齬も。1回だけ運んで誰も戻ってこない状況だったので、Red Bullスタッフの方が車から降ろして、自分だけが残りのゲーミングボックスを机に運ぶ作業をしていました。

そして、誰の指示も無いけどさすがにゲーミングボックスを使える状態にするべきだろうと触ったら……箱の開け方すら分かりません。 すぐに周りの選手の方が端から端まで教えてくれました。対戦会などで勝手知ったるものという感じで、本当に頭が上がりませんでした。 これも一部のスタッフが近くにいたボランティアなどに説明したかもしれませんが、ボランティアを集めてのレクチャーは無かったかと。ただし、この時点でフロアには大勢の選手たちがすでに入ってごった返しており、そんな状況では無かったのは確かです。 さらにゲーミングボックスについてはいくつか案件があるのですが、設営としてはここまでにしておきます。

設営問題に関する対策

では、対策を考えると

①PS4未アップデート

手配先に「PS4のアップデートは大丈夫ですか?」と事前に確認しておきましょう……では大雑把すぎかと。 思えば、あの状況でRed Bullに依頼したTOPANGAの判断、それにあの短時間で応えることができたRed Bull、まさに綱渡りでFGCの機転、結束力、底力を見た気がします。 ボンちゃんが個人配信で言っていましたが、あのゲーミングボックスが無かったら全体で2台進行、完全に破綻していたのではないでしょうか。 ただ、この事態は大元、そもそもの話が必要だと思われるので後述します。

※追記 岡安学氏の2020/1/17の記事「イベント終了は深夜0時過ぎ、トラブルに追われたTOPANGAチャリティー」より 『トラブルの原因について、話を聞いた限りですが、PS4をレンタルする会社にアップデートを依頼していたものの、当日になってできていないことが発覚した、とのことです。野試合用に借りていたPS4を使用したり、急きょeスポーツ施設に貸し出してもらった台を運び込んだりと、できる限りのPS4を集めて大会を開始しましたが、明らかに対戦台は少なく、時間もかなり押していました。』 とありました。
②配置図面

用意されなかったのは、出来なかったか、必要と想定してなかった、のいずれかです。 自分はおそらく後者ではと感じています。 今まで無くても何とかしてきたし、何とかなるだろう、と。 これも、そもそも論は後述します。ここで言えるのは、この規模なら図面を用意してスタッフやボランティアに配布すべき、ということです。

③機材設営

ボランティアが作業するならば、ここは時間を取って丁寧に説明をするか、図や文章でマニュアルを用意すべきでしょう。 できればそこに、モニターのモード設定やラグチェック、トラブルが起こった際の対処法が欲しいところです。

④電源コードの養生

しっかりベタベタに養生すべきでした。ただし、その時間があの朝にあったかも怪しいです。また、当日の状況では電源コードを固定してしまうことで、配線ミスがあった場合に対応しきれないという判断があったかもしれません。 そして、開場して人が大量に入ってしまったらもう後から対応することもできません。 これもまた、そもそもの話を考えざるを得ません。

⑤Red Bull ゲーミングボックス

知らないものはどうしようもない、そもそも予定していない。トラブルと対応の産物なので、これ自体は反省しようがないでしょう。 なので、ゲーミングボックスに起こった一連の出来事についてここでは述べておきます。

まず、ゲーミングボックスはモニター付きなので、朝に設営したモニターは机から降ろしました。モニターには音声出力から分配器、ヘッドホンがつなげられています。

稼働後しばらくして、選手から「ヘッドホンで音声を聞きたい」と要望が出ました。 この時点で自分は「?」でした。そもそもゲーミングボックスは音声を出しているのかすら知りません。 ボックスのどこにスピーカーが付いているのか、実は今でも分かりません。 仮にスピーカーが付いているとして、会場の雑然とした状況では聞き取れないということだったと推測しています。

ここで、周りの方が「ゲーミングボックスをPS4本体のみで使用し、HDMI出力を使っていないモニターに接続すればいい」と教えてくれました。それでもすぐに理解できなかったら、近くの人たちが一気にセッティングしてくれました。おそるべきFGC力です。

実はゲーミングボックスをセッティングしていた際、1箇所だけとあるボランティアの方がこのやり方をしていたのです。でも、その時は「わざわざモニターを別にするのって煩雑では?」と疑問でした。 しかし、実はそれが正解だったわけです。そしてこの情報は共有されず、すでに大会は進行しており場所によっては「申し訳ありません、ゲーミングボックスではヘッドホンを使えないので……」と説明していたケースもありました。

なので、選手たちによって環境がバラバラの状況が生まれてしまいました。自分の反省は、審判業務で自分のスペースを離れられなかったのですが、ここで無理やりにでも全台に周ってこの接続方法を伝えるべきだったということです。

根本の対策

さて、個々の事案について述べましたが、“そもそも”の話があります。

これは伝聞なのですが、「前日もライブが行われており前日設営ができなかった」と。

そうなのです、247チームで約1250人+観戦者や関係者、フロア32台+ステージ2台の規模なら前日設営でないと無理です(予選の時間帯を2つに分けても人が重なる時間帯はある)。 そして、今回の会場は電源供給の観点からゲーム大会には不向きで、1Fフロアがスタンディングで2107人、椅子使用で888人と規模的にギリギリ。 チーム募集をギリギリまで募った方針がキャパの限界や準備期間の不足につながった、とも推測します。

なので、上記の問題を解消するには

・前日設営可能なゲーム大会に向いた会場を確保する ・前日設営で機材設営まで完了して動作チェックも行う ・参加チームを早めに締め切り上限数も定める ・スタッフ、ボランティア向けに図面やマニュアルを用意する

です。

これって……当たり前のことです。

こんなこと、GCNの一員でありこれまでトパチャリを開催し続けてきたTOPANGAが分かっていないはずがありません。 一方、チャリティーなのでできるだけチームを参加させたいという精神は理解できます。 ただし、もはやそう言っている規模ではないだろう、と。 事前準備をそれほどしなくても現場で互いに協力し合えば何とかなるだろう、という段階ではないだろう、と。

プレイヤーたちがTOPANGAチャリティーに向けて準備し、地方からも多くの人が訪れ、多くの期待をしている中で、この状況は許されないということです。

厳しい言い方をすれば、これは「FGCへの甘え」です。

今まで格ゲーに長年携わってきてノウハウもあるはずのTOPANGAが“できない”はずはないのです。 適切な会場の確保に関しては、そう簡単ではないのは分かります。そうそう都合の良い会場が年末に実現可能な価格で借りられるものではありません。 でも、会場選びが運営のすべての根本。ここに最大限の努力を費やさなければなりません。極論すれば、会場を確保できなければ来年に延期でもいいです。キャパ的に無理があれば、参加チーム上限を定めるしかないです。

TOPANGAチャリティーは、格ゲープレイヤー達にとってもはやそれだけの意味があり、適切な運営が求められていると考えます。 GCNにも参加している松田さんの(株)ユニバーサルグラビティや、稲葉さんのGODSGARDENに協力を仰ぐこともできたかもしれませんが、それができなかった事情があったかもしれません。 それこそ歴史のあるTOPANGAチャリティーですが、「GCNチャリティー」として開催するのも案かもしれません。各団体のスケジュールや経費を考慮していない無責任な発言で、そもそもTOPANGAがやるから意味があることかもしれませんが。


コメント

  1. と。 より:

    この記事を公開した方はとても偉い方だと思います。理性的な対応で、格ゲー業界の未来に期待しているんだと思う。

    個人的に似た経験をいくつかしたことがあって、結論として、滅びゆくコミュニティは自壊するという内容になります。

    私も格ゲーが大好きです。
    その未熟な感じや、社会的弱者の集まりであるという点、コミュニティの成長を祈っていました。

    本件をはじめ、もう終わりなんだと思います。
    最後の闘劇と同じ光景。

    格ゲーは不名誉なタイトルと共に歴史に幕を閉じる。
    自分たちの選択によって

    • じくじく より:

      コメントありがとうございます。
      おっしゃる通り期待しております。そして自分はプレイヤーではなく、観戦者として観戦文化の成熟を期待しています。
      EVOJ2020は見る限りかなり良い運営のようでしたし、
      できれば終わりと思わず応援していければと思っています。

  2. 今井康浩 より:

    まずボランティアお疲れ様でした。
    業務改善や効率重視という言葉が飛び交う現実世界から解放されたくて大会に参加している選手達が、運営のまずさに目をつぶっている姿を見ているスタッフとしてはさぞお辛かったでしょう。私が昨年ボランティア参加していたなら今年は参加を見送っていた様に思います
    内容につきましては言葉を選びながらGAME愛に満ちあふれた指摘だと私には感じられました。機会がありましたらVF5FSのイベント(EVO Japanが終わったのでBT杯に成ってしまいますが)も見に行かれての文章も読ませて頂きたいです

    最後に大学生時代にプロゴルフ関係の場外運営スタッフとして約2.5年程働いていた過去を思い出させていただきありがとうございました。

    • じくじく より:

      コメントありがとうございます。
      言葉は選んだつもりでしたが、もしネガティブに捉えた方がいるのでしたら残念です。
      今井さんには好意的に感じていただき助かります。
      指摘するからにはその改善案は提示したいと考えていました。

      ビートラには確かに行ってみたいですね。他にも北斗や闘神祭など、SFVに限らず大会を感じることができれば。

      運営スタッフはイベントの対人最前線、その重みを改めて痛感しました。

タイトルとURLをコピーしました