ジョビン(ネカリ)vs クラッシャー(バーディー)
他のWinnersのTOP8決定戦では、吉本ゲーミングのジョビン選手がクラッシャー選手に勝利して大規模大会で初のTOP8進出を果たしました。
昨年からプロ選手として本格的に活動を始めた彼が、ついに結果を残せたということから感極まる姿も。
俺、人前でほとんど泣いた事ないのにベスト8決まった瞬間、色んな想いが爆発して号泣してしまった‥これで1024人中、5位以内は確定。明日のベスト8開始は18時から。ウィナーズ初戦の相手は俺の大好きな同士パウエルさん。もう一度最高のメンタルの状態に明日持っていく。 pic.twitter.com/mhIMsmpcNS
— ジョビン (@jyobin_channel) February 16, 2019
実はジョビン選手はSFⅣからリュウ使いの強豪です。 総合格闘技からお笑い芸人に転向するもプロゲーマーを志したこと、コメントや発言が一部の格闘ゲームファンに好かれずアンチも多々存在しますが、実力を付けてきたのはたしか。 WinnersのTOP8に達したことでその強さを示せたのは、思うところがあったのでしょう。
クラッシャー(バーディー)vs マゴ(キャミィ)
LoosersのTOP8決定戦では、バーディーの古豪筆頭であるクラッシャー選手と、直近のTOPANGA配信でもバーディーの強キャラぶりを紹介するマゴ選手の対戦。
さっそくバーディータイムの洗礼を浴びせてクラッシャー選手がラウンドを先取。
さらに立ち回りでは終始冷静に“冷たい”対応をしながらも要所でコマ投げ・キリングヘッドを決めてセットも奪い取ります。
一方、マゴ選手は体力&CAゲージ有利な状況からも、EXブルリベンジャーやEXブルヘッドを織り込みながら反撃してくるバーディーに対し、
CAによる削りKOを選ばざるを得ない苦しい戦いを強いられます。
結果、常に地上戦を圧倒したクラッシャーバーディーが
最後もキリングヘッドを決めて勝利!
かつてソドムでZERO3を終わらせた男がブランクの後にSFVで復帰したクラッシャー選手。 season1からバーディーを使い続けた彼が、パウエル選手に続きアマチュアながらTOP8という快挙を成し遂げました。
弟子犬(かりん)vs XIAOHAI(キャミィ)
事前記事でも注目した3rdの強豪選手で先日のクーペでも優勝、SFVでもグラマスと今年から力を入れていくと宣言した弟子犬選手。
フルセットフルラウンドの勝ち確まで至るも逃して惜しくも負け、という対ときど戦は映像を確認できず。 Twitchで冷血さんによる個人配信があり、そこでLoosersでの対 XIAOHAI戦が見られました。
しかし……
シャオハイ戦のガン処理されっぷりは本当に凄かった。
これが世界との壁かーってのを痛感させられましたね。
まぁ現時点だと0:100だけども、今年の終わりぐらいには10か20引けるようになりたいですね(`・ω・´)— 弟子犬KFG (@deshikenKFG) February 16, 2019
と、残念ながらここで敗退となりました。
たしかにまさにガン処理という試合でしたが、自分には弟子犬選手の身体が動く熱いプレイスタイル、そして負けた後の力強い「ありがとうございました!」という声が印象に残りました。
それはまるで「全力で潰してくれてありがとう、これから俺はもっと強くなります!」と言っているかのようで、胸が熱くなりました。
弟子犬選手のトナメ遷移は、
でLoosersベスト16で敗退の33位です。 個人的な好みでもありますが、今後もできる限り弟子犬選手の活躍を追っていきたいと思います。
決勝
ほとんどの大規模大会ではTOP8が最終日の決勝扱いで、大会での演出や配信での扱いもそれまでと一気に変わり注目も大きいものとなります。
こういった映像演出もTOP8の特権。遊び心もあります。
選手たちにとってTOP8はまさに晴れ舞台、通称“壇上”。 昨年のCPTジャパンプレミアで言えばtrashbox選手、今回で言えばジョビン選手がTOP8を決めた時に感情あふれた姿を見せたのも当然と言えるでしょう。
ここからの試合、すべてを取り上げてもおかしくない熱戦の数々でしたが、泣く泣く特に印象深かったものをピックアップします。
パウエル(キャミィ)vs ジョビン(ネカリ)
この両選手の試合、昨年ジョビン選手の10先企画では戦前の予想を覆し、ジョビン選手が10-2で勝利した組み合わせです。
しかし、格闘ゲームでは「宿題を持ち帰りこなしてきた方が強い」。 負けて後に対策をしてきたプレイヤーが次の機会にリベンジを果たすシーンはよく見られます。
ジョビン選手のハイリスクハイリターンな攻撃に対し、パウエル選手は最初こそミスがありラウンドを取られるもすぐに取り返します。 そして、1セット目最終ラウンドでは開幕前ダッシュ投げを垂直ジャンプでかわされるも、
すぐにキャノンストライク →フルゲージCAを解放して効率よく体力ゲージ大幅有利からスタート →さらに起き攻め →相手の無敵技を読んでガード →コンボからさらに起き攻め →中Kヒット
と、相手への読みと怒涛の攻めでわずか14秒でジョビンネカリの体力を7割近く削ります。
最終日の開幕試合ということもあり、互いに細かいミスもありつつ殴り合いの展開もありましたが、最後はクラッシュカウンターを経由せず補正をかけない状態のCAで大ダメージを与えるなど冷静なパウエル選手が2セット連取。
しかし、ジョビン選手も落ち着きを取り戻しガードや対空が冴えて1本返す。 この頃には互いに目立ったミスも無くなり、互いの攻めがぶつかり合う状況となります。
最後はジョビン選手の起き上がりからの無敵技を読んだパウエル選手がガードしてフィニッシュ!
試合後の握手では、何かしらパウエル選手がジョビン選手に話しかけているのも印象的でした。
パウエル選手はその後、ももち選手とふ~ど選手に敗れますが3位という輝かしい成績を残してEVOJを終えます。
パウエル選手はバーチャファイター3から晶を使い、SFⅣではルーファス、SFVではキャミィを使用してきた古豪です。2018年は国内を中心に精力的に大会に参加し、TOPANGA CHALLENGE CUPでも5位。
そして大会後は、上記のようなツイートも。
さらに他のツイートでは「アマチュアの可能性を見せられる事が出来たかなと思っています!」とも呟かれており、その通りSFVになりプロ選手が増えてきた中でアマチュアとして格闘ゲームに取り組む素晴らしい姿を見せてくれたと思います。
専業のプロ選手、ネモ選手のような兼業プロ選手、そしてプライベートをゲームに捧げるアマチュア選手。 今、e-sports(ここでこの言葉を使うのは本当は好きではありませんが)として注目を集め始めているSFVや格闘ゲームシーンだからこそ、過渡期としてさまざまなスタンスが存在しています。
ただ、誰もが自分の好きなゲームに対して、己のポリシーと情熱をもって向かい合っていることに敬意を表し、これからも選手たちの活躍を見守り、伝えたい。 そう感じさせるパウエル選手の活躍でした。
ジョビン(ネカリ)vs PUNK(かりん)
Loosersに落ちたジョビン選手を待ち受けるのはPUNK選手。
ごりごり攻めていくジョビン選手のプレイスタイルに対し、相手の動きを見てから的確に技を出す驚異の精度で相手に隙を与えないPUNK選手はあまりにも手強い。 正直に言えば戦前は「1本取れれば十分」くらいに予想していました。
そして実際にしばらくは、PUNK選手はジョビンネカリの技振りに対して精度の高い差し返しからダメージを重ね、ジョビンネカリの弱決起も
それを見てからのジャンプ攻撃という恐ろしい反応速度! そして起き上がりに無敵技を出すジョビンネカリの動きを読みしっかりとガードなど、圧倒的な展開でした。
しかし、空中で起動変化するジャンプ攻撃・太陽の道を使い始めた辺りから、
ジョビンネカリに光明が見え始めます。 対空精度も維持しながら心折れずに攻め続け、下段から崩し画面端に追い込み攻めを押し付けていくジョビン選手。
そしてコンボでダウンを取られるも、今度は起き上がりからバックステップ。
ガードしていたPUNKかりんが打撃に来たのをかわして差し返し、さらにバックステップで逃げるのを読んで中決起で咎めて1セット取り返します。
ここから、攻めの勢いを保ちながら冷静さを取り戻した感のあるジョビン選手。 太陽の道をHitさせてコンボ、
そしてPUNKかりんが起き上がりでしゃがみガードから立ち上がったところを下段でフィニッシュと、もはや互角の戦いぶりを見せます。
一方、PUNK選手も太陽の道に対し間合いを取り着地をとらえ、
変わらず精度の高い差し返しからのHit確認で劣勢を覆してみせます。
この時点でセットカウントは、ジョビン1-2PUNK。 PUNK選手も最初は笑顔を見せていた状態から、時折爪を噛み真顔になる戦闘モードへと表情を変えていました。
次セットはジョビンネカリの投げ抜けやバックステップを読み切って狩り取り、PUNK選手がラウンドを取ってリーチ。 そして、次ラウンドも徐々にダメージを奪い、ジョビン選手を画面端に追い詰めます。 しかし、そこで下段から崩し
CAでリーチを凌いでみせます!
そして次ラウンドも勝負所で
PUNKかりんのVリバーサルを差し返し、セットを2-2にしてみせるジョビン選手! この頃には場内も物凄い盛り上がりを見せ、ジョビン選手への歓声も多く挙がっていました。
そしてファイナルセット。
ここに来て着地や前ダッシュを狩り、ジョビンネカリを冷たく咎めるPUNK選手が1ラウンド先取で再びリーチ。
しかし、強気のパナしなどで攻めをあきらめないジョビン選手がラウンドを奪い返す。 ついにまさかのフルセットフルラウンドにまでもつれ込みました。
互いに削り合い、ダメージ五分で終盤に至り……
最後はネカリの中キック弱決起に対しCAを決め、PUNK選手が熱戦に終止符を打ちました。 ※配信では確認してとのことでしたが、後日の勝ちたがりTVでは「あれはぶっパナし」という話も。
この試合では、最初は配信でジョビン選手に対しアンチコメントが多かった状況だったものが、試合後には一変してほとんどが健闘を賞賛するコメントに変わりました。
勝負後にPUNK選手と握手するジョビン選手。
実は一点、ここまでジョビン選手の所作に気になるところがありました。 それは、勝った時やパウエル選手に負けた時、相手選手との握手があまりに素っ気なかったのです。 正直、個人的にはムッとしました。 ただ、この試合の後で初めて、ジョビン選手は目に見える形で相手に敬意を示し頭を下げたかと思います。
それを見て感じたのは「この男はあまりに勝利に対しエゴイスティックなのだ」と。 トーナメントに生き残り続けている限り、自分の勝利に集中している。 それがPUNK選手に敗れて終わった時に解放されたのだな、と。
格闘家として生きてきた血がそうさせるのかもしれません。 おそらくそう言った性格が言動にも表れ、格ゲーファンに不評を買うこともあると思います。
ただ、彼が見せた戦いは紛れもなく本物であり、勝ちたい気持ちがあふれて見ている者にも伝わる熱い試合でした。
ファンの立場としては選手に対して好き嫌いがあるのは当然。 その上で、アンチの人間も彼の努力やその強さは認めるべきだと強く感じました。
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