「EVO Japan 2019」SFV部門・決勝&予選2日目レポート! 注目すべき試合を大量にピックアップ!

ももち(コーリン)vs ふ~ど(バーディー)

他にも数々の良質な試合がありましたが、ここまではあえてエモーショナルな試合を取り上げてきました。 しかし、最後はやはりこのGRAND FINAL(以下「GF」)でしょう。

まず、ももち選手は負け無しのWinners側でGFに上がってきました。 ギリギリの戦いがありながらも、コーリンと是空を使い分けつつ窮地で見せる天才的な動きは見るものを唸らせるものでした。

一方、ふ~ど選手は早い段階でニシキン選手に敗れてLoosers落ち。 ももち選手がGFまで10試合で上がってきたのに対し、ふ~ど選手は16試合。 ダブルイリミネーション方式の宿命とはいえ、あまりに過酷な道のりでした。

これを可能にしたのは、ふ~ど選手自身の強さはもちろんのこと、R.ミカとバーディーという2キャラを備えていたことがあるでしょう(それとニシキンブランカに再び当たらなかったことも)。

その上で、ももち選手がコーリン、ふ~ど選手がバーディーを選択。 このGFは、そんなキャラ状況と二人のプレイヤーが織りなした劇的な試合でした。

GRAND FINAL

バーディーの投げ捨てるバナナを、

自ら前に踏み込んでガードし地面に置かせない、というきめ細やかなキャラ対を見せるももち選手。 バナナを置かれると、飛べば対空で落とされ、地上からは攻められずラインを押されてしまう。そういった戦略に対する一つの答えでした。

しかし1セット目から、

ふ~ど選手が編み上げた地獄のVトリガー2“バーディータイム”の連携を見せつけます。

その後も、バーディーの地上戦&対空の有利とふ~ど選手の間合い管理の上手さ、ももち選手の展開や心理を読み切った差し返しなどの応酬が続きますが、

強パンチが当たれば地獄の始まりというバーディータイムの威力はすさまじい。

結果、バーディーの優勢は変わらず結果的にセットカウント3-1でGFふ~ど選手が勝利、ももち選手をLoosersに落とすリセットに成功して最終試合へ進むこととなりました。

 

GRAND FINALリセット

勝利への手応えを感じているであろう、ふ~ど選手。

 

内容的にも厳しかったGFを終え、打開策を思案しているであろうももち選手。

 

リセット最初のラウンドでは、バーディーの攻撃に対して確定反撃が取れる状況でも

バーディータイムのチェーンへの派生を読んで安易に攻め返さないももち選手。 それでも最終ラウンドでは本人いわく勝ち確の展開を逃してセットを失います。

しかし、このセットでももち選手は「光が見えた」と後に語ります。 それは立ち回りの中で

「これは普通にやっては勝てない。よし……待とう」

と。

間合いを保ちつつ、時には踏み込んでガードするなど

「相手の間合いに入って待つ」ももちコーリン。

本来は待ってても勝てないし非効率だが、普通に攻めても勝てないと考えて相手の技振りから光を見出そうとした、と後の個人配信で語っていました。

そこからバーディーのEXブルリベンジャーをかわしての反撃などしつつ、

機を見て技を当てる戦略でラウンドを奪取。 その後も相手の技振りを喰らうことはあっても焦らず戦略は変えません。

むしろそうすることで、反撃の機会を得てダメージを奪い返します。 画面端の起き攻めなど択の状況では押しても、Vトリガーを発動されたら無理せず距離を置く徹底ぶり。

しかし待つことにも限界があり、要所ではやはりバーディーの攻撃を喰らってしまう。 2セット目の最終ラウンドでは、

開幕からの猛攻で体力残り2割まで追い詰められ、セットカウント2-0になればもはや絶望的な状況。 しかし、そこでももちコーリンは……

確定反撃から

覚悟決めた表裏択に成功、

今までの待ちを複線にした緩急で怒涛の反撃で相手をFREEZE!。

そしてバーディー側が古ゲージで削りCAが見える状況で、

当て身技「フロストタッチ」を仕込みたい中、下段からのCAはない故に立ち中パンチからのCAを読んで中下段の二択から「フロストタッチ・ミドル」を選択!

無傷のふ~どバーディーに対して残り体力2割の状況を、緩急を付けた戦略と瞬時の判断により見事にまくってみせたのでした。

この劇的な展開に場内も配信コメントも絶叫に近い盛り上がり! このシーンが、まさにGFリセットのクライマックスとも言えるでしょう。

その後も待ちと攻めの緩急を付けて、GF1戦目が嘘のような五分以上の戦いを見せるももちコーリン。

隙の大きいバーディーのVトリガー2発動もCAで咎めるなど3セット目を奪って2-1、優勝にリーチをかけます。

次セットもラウンドこそ奪われましたが、CAゲージを貯めて勝ち筋を見い出す冷静さ。 次ラウンドでは体力わずかに有利な状況でのタイムアップ直前、

ももち選手いわくコマンド入力のあやで化けて出せたというEXバニティステップ逃げ切りに成功する、という幸運も。

最終ラウンドも読み合いの裏をかく3連続の投げ、GFリセット2セット目から徹底した

待ちからのドリンクタイムやEXブルリベンジャーの咎めで攻め、ついに勝利!

GF1戦目では絶望的と思われた状況からGFリセットで逆転勝利を収めました。

なお、あまりにも劇的な主人公的展開の為にももち選手サイドで書き記しましたが、ふ~ど選手の上手さは随時光っていました。 それに、これがGFでなく通常の3先ならふ~ど選手が勝っていたとも言えます。

ふ~ど選手は試合直後、かなり深く試合を振り返っている表情が印象的でした。

後日の勝ちたがりTVでのふ~ど選手のコメントでは

リセット後の1本目もいい取り方で、油断はしていないが勝てると思った。 しかし、2セット目から動きが悪くなって、その考え方が良くなかった。 中段攻撃をガードして確定反撃をミスって逆にピヨらせて負けたり、当て身攻撃もゲージが無いと思って選択を誤った。 立ち回りの差し返しで勝てると思ったが、結果的に差し返しを狙い過ぎた。その結果、自分が下がって簡単に画面端に行ってしまった。 試合中にそれに気付けず、試合後もずっとそれを考えていた。EXブルリベンジャーだけでなく、弱ブルリベンジャーも打ってラインを上げれば良かったとかも。 自分の対策がシンプル過ぎたと悔しく思っている。

といった主旨の感想が聞かれました。

これを、ももち選手の言う「光が見えた」に照らし合わせると、必ずしも互いの考えが噛み合っているとは言えません。

しかし、ふ~ど選手が立ち回りに自信を持っている状況で、ラインを下げず近付いてしゃがみガードなどの「積極的な待ち」を試みたのが功を奏したとも言えます。 その上で互いにミスや幸運と不運があったと。

こう言った後日談を聞くことで、試合配信だけでは知りえなかった選手心理が分かるのは本当に奥が深い。 これはある意味、格闘ゲーム好きにある「ガチで戦うがオープンマインド」的な心地よい文化とも言えるのではないでしょうか。

少し話がそれましたが、こうしてEVOJ2019のSFV部門はももち選手の優勝で幕を閉じました。 優勝インタビューでも個人配信でのひょうきんさとは異なる、さすが忍ism代表というコメントを残し美しい幕切れでした。

なお、今回のEVOJでは優勝賞金や大会運営に関しての話題も挙がりましたが、これはセンシティブな案件なので、誤解のないように後日お伝えできればと思います。

ともあれ今年初となる大規模大会は数多くの熱戦で、予想以上に見る者を楽しませる試合ばかりでした。 来年の開催も期待したいと思います!


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