マクロ「規模とか歴史から俯瞰してみる」
記事の冒頭で「妄想」とか言ってたのは、これから計算したり調べたりしたものは自分の知らないところで正解が存在するから。
だってさ、今回のイベントでどれだけのお金が動いたか試算してもRAGEや業界関係者の人は知ってるでしょ、っていうこと。
でも、そんなこと言って考察やまとめを諦めるのもイヤだから勝手にするよ、って話です。
たまアリという「箱」のサイズ
前半でたまアリは最大37,000席と言いましたが、利用モードにはいくつかあって「スタジアム」が最大収容サイズ。次いで今回の利用モードである「メインアリーナ」が最大22,500席です。ここら辺はたまアリの公式サイト見ればすぐ分かります。
で、たまアリの「メインアリーナモード:センターステージ」とチケット販売時に公開された席配置図を並べてみると、
こんな感じで、外周の4~5階席は最初から使用予定はなかった模様。
そして詳細図をよーく見ると分かるのだけど、南北に「3XX」の3階席があるのよね。
公式Twitterで追加席を発表していたけど、たぶんこの3階席を追加したんじゃないかと思います。
で、こう見ると公式配信のオープニングMCで語られていた入場者数「13,000人」は納得できる。
最大22,500席から外周を取り除いたら、それくらいになりそうだよね。
その上で、イベントの常套手段でクローズドされた席は暗幕かけたり照明を避けたりすれば、あのガン埋まり感は十分に出ます。
▲それでも13,000人は演出どうこう抜いても十分にヤバい
他イベント会場との比較
ここはザックリで行くけど、イベント会場のサイズ感は
↑
ドーム(30,000~50,000人)
↑
アリーナ(10,000~30,000人)
くらいで呼ぶのが一般的かと。
もちろん広いドームもあれば狭いスタジアムもあるけど、あくまでザックリ。
最大が新国立競技場で88,000人、何かと出てくる東京ドームが55,000人かな。
で、今回のたまアリの規模感に近いものを挙げてくと
さいたまスーパーアリーナ | 最大37,000人、今回13,000人 |
横浜アリーナ | 17,000人 |
日本武道館 | 14,471人 |
両国国技館 | 11,098人 |
有明アリーナ | 15,000人 |
大阪城ホール | 16,000人 |
マリンメッセ福岡 | 15,000人 |
こんな感じ。今回の規模は武道館や国技館とほぼ同等だったんですよ。
ただ環境・設備・アクセス・予約方法・使用料金を考えると、たまアリがベストというか、それしかなかったのでは無いかと予想します。
お金を計算してみよう
さあ、いよいよ妄想の世界へ。アバウトに収支を計算してみようと思います。
こういうのって業界内部の人間やイベンターじゃないと見当違いな額を出しちゃうから怖いんだけどねw
支出
まずは、たまアリの利用料金関連。これは公開されているので、ある程度は合ってるかもしれない。
まず、メインアリーナモードの基本利用料金は12時間で「本開催:825万円」「設営・リハ・撤去:412.5万円」。
1日で「本開催:1650万円」「設営/リハ/撤去:825万円」です。
これを日程的に、
6/25 9時 ~ 6/26 21時:本開催→2日分
6/26 21時 ~ 6/27 21時:撤収→1日分
としてみると、
設営/リハ/撤去:850万円×2日=1700万円
つまり、5000万円です。
設営/リハ/撤去がどの程度の時間で済むのかなどは分からないので、すでにアバウトだけど。
ただ、上記は基本利用料金で音響&映像機材や各種設備、光熱費や臨時インターネット回線の使用料金などはすべて別料金。
どうしようかな……もう全然見当つかないので他を1000万円としよう。
ということで、たまアリ使用料自体は6000万円としておきます。
あとは人件費か。
スタッフ100人×日給1万×4日として400万、盛って500万円としておく。
ほか、出演者のギャランティーやプロモーションなど運営諸経費で500万円。
今回の「2022 VALORANT Champions Tour – Challengers Japan Stage2」賞金総額は200万円だけど、これはたまアリ開催費用とは別枠だと思うので除外。
ということで、
人件費:500万円
運営諸経費:500万円
総計:7000万円
としておきます。ああ、正解知ってる人が見たら笑われそうだなあw
収入
これはチケット収入から試算。
正確なS/A/B席の席数は分からないけど、図面からザックリと推測して1日の入場者数1万3000人を
A席:6,000人
B席:3,000人
に振り分けてみます。これを計算すると、
A席:4,000円×6,000人×2日間=4800万円
B席:2,000円×3,000人×2日間=600万円
総計:1億円
1億円、なんて分かりやすいんだ!(そう誘導したくせに)
他にグッズ収入とスポンサー収入があるけど、これは本当に読めないので+αとしてとりあえず置いときます。
グッズ売り上げは本当に水物だし、スポンサードは金銭に限らずオフイベに対して別途発生しているかも分からないので。
ということは黒字!?
かなーりザックリと、しかも推測というより妄想入ってたけど「収入:1億円」「支出:7000万円」ならプラってる!
仮に入場者数が見込みの半分なら赤字、7割ならトントンということか。これ、興行のプランとしてすごくイイ線いってると思う。
イベンターでも興行主でもない自分が言うのは、まさに「知らんけど」だけど。
開催を後押ししたのは?
でもCybarZとエイベックスが運営する天下のRAGEが、思い付きやドンブリ勘定でたまアリ押さえたりはしないはず。
優秀なマーケティング部隊がいて、試算して勝算があったからこそ実行に移したと思うのよね。そこら辺をまた勝手に推測します。
VCT stage1 MASTERSでのZETA DIVISIONの活躍
これが無ければ、今回のたまアリも無かった。さすがにそうでしょう、そうだよねRAGEさん?
Twitterトレンド世界1位、全世界の最高同時視聴数は65万人超。
「#ZETAWIN / #ZEATWIN」がTwitter世界トレンド1,2位入りを達成。最高同時視聴者数は65万人超えを記録 https://t.co/EfMUuVAbkh pic.twitter.com/dfVGI4kRKh
— VALORANTニュース (@ValorantNews_jp) April 22, 2022
国内同時接続数も過去最大の41万人。
途中過程となる視聴数推移は、negitaku.orgさんの記事を参照してね。
▲www.negitaku.orgさんより
自分のようなにわかフリーライターより2002年から記事掲載しているYossyさんを信じろ、ってことで。
ともあれ、もしグループプレイ敗退だったらここまでの視聴数にもトレンドにもならなかったに違いないし、たまアリでのオフラインイベント開催を決断したとは思えないわけです。
熱と数字がGOサインを出した?
ただ、それだけだとあまりにいい加減過ぎるのでいくつか補足を。
まず4/22~24にかけて、急遽パブリックビューイングを開催したということ。
これに対する応募状況や来場したファンの熱度を見て、まずは可能性を測ったのかと。
そして、前述した国内同時接続数41万という数字。
もちろんこれはMAX値だけど、この人数の5%で20,500人、3%で12,300人になる。
マーケティングは分からないけど、過去の配信視聴者数に対するイベント参加者のデータは持っているだろうし、この数字でイケると判断したのではないかな、と。
別ジャンルだけど、フリーミアムモデルのソシャゲは課金率が数パーセントとも言われてるし、見当外れでは無いと思うんだ。
ということで、「NICE!」で最大限に盛り上がった時点で「次のstage 2の国内Playoff Finalsは、コロナ制限が許せばオフラインイベントを開催しよう!」となったのではと妄想するわけです。
いくらRAGEでも、たまアリをパブリックビューイングみたいに緊急開催できなかっただろうし。
13,000人(延べ26,000人)という数字
今回のイベントが2日間で延べ26,000人、e-sports国内大会で史上最高の動員となったのは間違いないとして。
ただ、ちょっとその意味合いが過去とは違う点には触れておきたいので、あともうちょっとだけお付き合いを。
ゲーム大会では無く「興行」
つまり、純粋に大会を見に来たお客さんの数ということです。
これがゲーム大会の参加者ということだと、直近では
▲コロナ前のシャドウバース予選大会、それでも6,000人
がありました。
あとだいぶ遡りますが、1992年開催の「ゲーメスト杯 ストリートファイターII ダッシュ チャンピオンシップ」には4,000人が参加したと言われています。
これはこれで、インターネットが普及していない雑誌やハガキ応募の時代にこれだけ集まったというのもスゴい話なのですが。
ともあれ、自らがプレイヤーである参加者でも1万人に及ばなかったものが、今回は「興行の有料入場者数」で延べ26,000人だったということなんです。
他イベントとの比較
ちなみに意味合いは変わるけど、コロナ前最後の「東京ゲームショー」が、4日間開催で262,076人、2日間の一般公開日で193,634人、1日で約10万人。
やや乱暴だけど、ゲームという最大公約数の中のアクティブ層のうち、1割がたまアリ来たと考えてもスゴい話だなーと。
あと2016年niconico主催の「闘会議」が2日間で47,588人、これはゲーム実況と大会の総合イベントですがストリーマー文化の興隆を感じさせるものでした。
それと、もう一つ。
世界レベルで参照したいイベントだと、2014年韓国開催のWORLDS。
▲4gamer.netさんより
e-sports先進国の韓国・ソウルで開催されたLeague of Legendsの国際大会が、ソウルワールドカップスタジアムで有料入場者数40,000人でした。
ちなみにこの前年に開催されたアメリカ・ロサンゼルス大会では11,000人だったとのこと。
何かこう……e-sports元年また来たんじゃね? 今度こそ始まったんじゃね? 的な。
世界レベルでも韓国の背中が少し見えてきて、欧米には全然負けてないレベルというか。
自分は大会配信やオフイベが好きな観戦勢に過ぎないけど、ゲーム大会やe-sportsに関わってきた人間にとってはあまりに大きすぎる出来事で、関係者や歴史を知る人たちにとっては感無量だったのではないかと思います。
終わりに
ここまで長々とお疲れ様でした。
もしアウトな内容があったら訂正します、ゴメンナサイ、謝ります。
ま、それはともあれ。
e-sports普及とか配信文化の浸透とか観戦勢の増加とかコロナ巣ごもりとか、いろんなプラス要素があって「興行としてのe-sportsイベント」の可能性が見えかけていたわけで。
格ゲーの「ストリートファイターリーグ: Pro-JP」でも、大会のオフライン&オンライン有料視聴がすでに行われています。
そんな大会やストリーマーの視聴数がグングン伸びてきた中で、「ファンの存在の可視化」が今回のたまアリだと思います。
webの向こうにいたファンたちが本物なのか、どこまでアクティブなのか、というリアルでは見えなかった存在の「可視化」です。
これを業界内外に知らしめたというのが大きい。自分はそう捉えています。
まあ、難しいことは置いといて、やっぱオフラインはいい!
早くコロナ気にせずにイベントを楽しみたいね!っていうことで。
きっとこれからもっとオフラインイベントが盛り上がってくる(はず)。
文章・取材:じく
ゲーム会社で16年間、マニュアル・コピー・シナリオとライター職を続け2018年末に退職、2022年3月にフリーライターとして独立。e-sports大会や配信をこよなく愛する。
ちなみにVALOも好きだけど、当日はこのTシャツで行ってきた。
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