EVOが終わり、CPTの後半がオンライン戦やランキング戦からスタートしました。
本来は香港プレミアから本格スタートというところですが、 ご存知の通り政治事情を鑑みてCPT対象イベントからは外れました(代替イベントや別イベントへのポイント振り替えなど無し)。
次のプレミアは8/31~アイルランド/ダブリンの「Celtic Throwdown 2019」となります。 その次のプレミアが9/7~中国/上海の「PPL Fighter Masters 2019」ですね。 そして9/14~日本/千葉で「Asia Premier」が控えている感じです。
CPT2019順位表&推移グラフ
それではまず、TOP10を表と詳細グラフで見ていきましょう。
1 | PUNK | 3255 |
2 | Bonchan | 3070 |
3 | Tokido | 2175 |
4 | Fujimura | 1845 |
5 | Problem X | 1540 |
6 | Fuudo | 1350 |
7 | Machabo | 1120 |
8 | Big Bird | 1055 |
9 | Phenom | 930 |
10 | Infexious | 755 |
EVO以降では変動はわずか、Big Bird選手がランキング戦に優勝してPhnom選手と8-9位を入れ替わったくらいです。
実際のところ、9位930ptsのPhenom選手までは現時点でほぼCC確定と言っていい差があるでしょう。
そして差が開いて10位755ptsのInfexious選手以降が、まだポイントを積み重ねる必要のある選手と言えます。
ということで、独断ではありますが2019/8/25現在、10~35位の選手にリージョン別でフォーカスしてみます。
10 | Infexious | 755 |
11 | AngryBird | 715 |
12 | Oil King | 695 |
13 | Daigo | 675 |
14 | Momochi | 650 |
15 | Nemo | 645 |
16 | Xian | 630 |
17 | NuckleDu | 620 |
18 | John Takeuchi | 600 |
18 | Gachikun | 600 |
20 | Smug | 585 |
21 | 801 Strider | 570 |
22 | Sako | 560 |
23 | Dogura | 550 |
23 | JB | 550 |
25 | iDom | 465 |
26 | Haitani | 440 |
27 | GamerBee | 400 |
28 | Takamura_B | 380 |
29 | Itabashi Zangief | 365 |
30 | MenaRD | 345 |
31 | HotDog29 | 300 |
32 | Pikoro | 285 |
33 | Dark | 280 |
34 | Johnny | 265 |
34 | Ryusei | 265 |
Asia
残りイベントは、スーパープレミア1、プレミア2でポイント総量は、11,840ptsです。
まず以降のプレミアにも参戦が予想されるOil King, Daigo, Momochi, Nemo, Xia, John Takeuchi, Sako, Dogura選手あたりまでは、現在のポイントと比較しておそらくボーダーは越えることが予想されます。 一方、26位Haitani選手は9月以降のCPT参戦が少なくなることが予想され、Asia Premierが勝負所となるでしょうか。 GamerBee, Itabashi Zangief, HotDog29, Ryusei選手らは、精力的にCPTをツアーすることが予想されるので、完走(最後まで行ける限り世界格国のCPTに参戦する)覚悟で何回かベスト8に近い成績を残せればいけるでしょうか。
Johnny選手はFinal Round 2019での3位以降ビッグポイントはありませんが、決して一発屋ではなく参戦したプレミアでは20ptsを多く獲得しています。 忍ismの方針次第ですが、おそらく参戦する中国や日本のプレミアでの結果次第ではまだチャンスがあると思います。
あとHotDog選手は、もし香港プレミアが開催されていれば(イベント自体は開催でCPT非対象)地元ということもあり活躍が期待されたので残念なところです。 それでも香港の選手たちは、もし来てくれた場合は安全とホスピタリティに尽力するとTwitter上で表明し、FGCの温かさを感じさせます。
他にもOil King選手にTaipei Majorの運営を任してCPTに専念することを表明したGamerBee選手には頑張って欲しいという思い、板橋ザンギエフ選手はきっと帳尻を合わせてくるであろうという謎の確信、BBCFでEVOを制覇した若きユリアン使いのりゅうせい選手に託す世代交代への期待などもあります。
さらに、36~50位以降の選手では、MOV, Travic Styles, NL, Trashbox, Verolen選手など。 あとはEvoでTop8に残ったYang Mian選手、勝ちたがりのMoke選手、TOPANGAのMago選手などにも期待。中国プレミア、日本スーパープレミアでのジャンプアップ次第と言えるでしょう。
North America
Knuckledu, Smug, 801 Strider, JB選手あたりまではさすがに現ポイントから大丈夫でしょう。 一方、iDom選手あたりからは油断ならない状況と言えます。 North Americaの残りイベントは、スーパープレミア「North American Regional Finals 2019」、プレミア「Canada Cup2019」、オンライン「North America East」、ランキング「East Coast Throwdown2019」。残りポイント総量は100,70ptsです。
チーム所属やスポンサードを受けられる選手ならば他リージョンへの遠征も可能でしょうが、それ以外の選手は現段階からの頭打ちが予想されます。 Dual Kevin, CJ Truth, Shine, Terrence, Brian_F, Justin Wong選手などは、北アメリカ地域ファイナルとカナダカップでジャンプアップできるかが勝負所です。 しかし、これら2つはCPT終盤ということもあり他リージョンからの遠征勢も多いので苦戦が予想されます。
Europe
Infexious選手は現ポイントからも最近の活躍からも問題なし。Takamura_B選手が今後の活躍次第でしょうか。 Europeは残りプレミア2、ランキング1で、ポイント総量は5,690ptsと少ないのが厳しいところとなります。 ボーダーライン的には、Luffy選手が特に厳しい。昨年EGX 2018プレミアを制し、日本のボーダーライン勢(通称“ブラジル兄弟”)を歓喜させた、あの活躍を期待したいところです。
Latin America
ランキング戦が5つ残っているという、他リージョンとはやや状況が異なります。ポイント総量は2,150ptsです。 ポイント総量的には他リージョンより圧倒的に少ないのですが、そのランキング戦が開催される国が、チリ/ブラジル/メキシコ/ドミニカ共和国/コスタリカ。 どの国も他リージョンからの遠征がしづらいという特性があります。 このランキング戦のポイントをMenaRD, Pikoro, Dark, DoomSnake507, ElTigre, Caba選手らが寡占的に奪い合うことで、1~2人のボーダーライン越えの可能性があります。
特に北米にも遠征してポイント獲得した記録のあるMenaRD, Pikoro選手は、まだまだ現実的とも言えます。
現時点でのボーダーライン順位を検証
グローバルポイントのボーダーラインが26位。 前年覇者のガチくんは現在18位の600ptsで、まず26位以内に入ると仮定します。 これでボーダーが27位になると予想。
次に各リージョンファイナルを優勝した選手が26位以内に入っている可能性。 Asiaはその可能性が非常に高く、North AmericaやEuropeもそうなるでしょう。 ここで、ずれるであろう枠を「1+0.75+0.75」で「2.5」と計算します。 一方、Latin Americaはそこまで高いとは言えずに「0.5」と仮定して、合計でリージョナルファイナルによるグローバルポイント枠のズレは「3」と予想します。
このことから、グローバルポイントのボーダーラインというものは、それを越えるだけでなく「ボーダーの近辺にいる」ことが大事です。 リージョンファイナルで誰が勝つことで誰が上がるか、というのは観戦する側としてもポイントレースを楽しむ要素の一つとなります。
では、前年覇者やリージョンファイナルの枠が影響してグローバルポイントのボーダーラインが「29位」と仮定します。 (今までの記事では26位でいろいろと試算していましたが、CPTも後半に差し掛かり今後は精度を求めて29位としていきます)
昨年のボーダーライン状況
昨年はいろいろと状況が複雑でした。 まずグローバルポイントのランキングは、
という状況でした。 そしてリージョンファイナルの優勝者は
でした。 さらに11位のInfiltration選手の出場辞退があり、その結果
となり、GamerBee選手以下が涙を飲みました。(もし間違いありましたら訂正します)
ポイント比率からのボーダーライン計算
昨年はかなり複雑な状況で枠は30位までとなりましたが、今年はそこまでの状況は今のところ予想されず29位としておきます。 昨年のポイント総量が67512ptsで29位が772pts、比率は1.1435%。 これを今年に当てはめると、72470ptsに対して827ptsになります。
これがいわばボーダーライン戦線に残ってリージョンファイナルに運命を託せるラインと予想できるのではないでしょうか。
また、前回の記事でも計算した、現時点での29位と昨年の比率との比較をしてみます。
現時点の29位は板橋ザンギエフ選手の365ptsです。 そして今年は、70270ptsに対して40090pts(約57%)が消化されています
これを昨年の29位の比率1.1435%にあてはめると、約458ptsです。
つまり昨年と同じペースだと、29位は458pts。 でも今年は365ptsしかない。
これは前回の記事でも書きましたが、上位勢のポイント寡占によるボーダーライン低下減少の現れです。
で、今回はもう少し踏み込みます。 この「上位勢のポイント寡占状態」がこのまま続くと仮定した場合です。
すでに消化された40090ptsに対しての29位365ptsは、0.91%です。 この比率で最後まで行った場合、CPTポイント総量の72470ptsに対しての0.91%は約660ptsとなります。
上記したグラフでも分かるのですが、 11~23位タイの14人が165pts差と集中しているのに対し、23位タイと29位の7人の差だけで185ptsもあるというかなり偏った状況です。
単純に現在の29位365ptsだけをターゲットとすれば、200pts前後の選手たちにもまだまだチャンスがあると言えます。プレミアTOP8が2回分の差、というところです。(実際はそのボーダー上の選手もポイントを稼ぐわけですが)
827ptsとか言っておいて、今年の感じが続けば660ptsとは、自分で試算しながら何といい加減かw
ただし、前半は破竹の勢いだったPunk選手の減速や、ほぼCC確定選手のイベント参加絞り込みから、この傾向は緩和されると思われます。
そこで、一切の責任は持てませんがいわゆる安全圏が830pts、展開によってもう少しボーダーが下がって800ptsくらいというのを一つの予想とさせていただきます。
日本人選手が残りのCPTで経済的な面から効率よくポイントを稼ぐには?
計算するだけでは味気ないので、今回はもう少し踏み込んで。
日本人選手の「遠征」という面から、選手へのオススメというやや特殊で “上から” と怒られそうな観点から。ザックリとした旅費とポイントとの効率で考えます。
旅費はexpediaから試算。 開催期間の前2日に日本発~後1日現地発で飛行機代と宿泊費です。 大人1人で飛行機はエコノミー、宿は個室ホテル(ユースホステルを除く)の最安値レベルとします。
これで概算を出すと、9/7~の中国プレミアの場合、9/5日本発・9/9現地発で約\46,000-です(以降46 “k” と表記します)。
次にポイントの観点。 ポイント総量で言うと、super premier:6580、premier:2630、ranking&online:430で、単純比較だと差が大きすぎます。
そこで、これから稼ぎたい人の現実的な順位、または稼いでおきたい順位を想定してみます。 これは選手の実力やイベント参加選手のレベルに依存する非常に感覚的なものではありますが、
super premier:25位(50pts)、premier:13位(40pts)、ranking&online:5位(10pts)
と仮定してみます。 中堅レベルの日本人選手が頑張った時のありそうな順位だと思いませんか?(ホント偉そうですみません)
このポイントと旅費から出した数値をPPY(Points Per Yen)とします。 ただ、少しでも客観的な視点も残すべきなのでポイント総量に対する効率値も出しておきます。これをGPPY(Gross Points Per Yen)とします。
まず誰もが考えるところを例示すると、中国premier「PPL Fighter Masters 2019」と日本super premier「Asia Premier」は割に合いそうですよね。アイルランド/ダブリンのpremier「Celtic Throwdown 2019」はあまりに直近過ぎるので除きます。
仮に日本の旅費は10kとしておいて試算すると、
こんな感じで、要は「金銭的に割に合う遠征か?」で考えていきます。 これを例えば、ラテンアメリカのランキング戦に当てはめると、
と、GPPYやPPYで見ても到底割に合わないことが数値で分かります。 もちろん、20万円かけて南米のランキング戦に行くのが割に合わなさそうなのは予想できますが、それを数値で明確にするのには意味があるかと。
では、これを残りCPTイベントで試算していきます。
これを見ると、自然と残りの狙い目イベントが、 「中国premier→日本super premier→シンガポールpremier」 という流れが分かります。
ここで予想されるのが、シンガポールpremierまででCapcom Cupを目指せる現実的なポイントを稼げているかということ。 この段階で選手たちは “完走” するかどうかの決断に迫られると言えます。
EGX – European Regional Final(ロンドン)に行く選手は、まだCapcom Cupへの出場意思があると言えるでしょう。 この日は北米ではランキング戦が開催されており、意外に旅費も安くてPPY的にもライバル環境的にも狙い目です。
ガチで稼ぎに行くならば、その後のLATAM Regional Finals(プエルトリコ)とCanada Cup 2019(カルガリー)のpremier 2weekツアー敢行でしょうか。
その上でボーダーライン前後の選手は、最後のCPTツアー戦であるsuper premier であるNorth American Regional Finals 2019に参加せざるを得ないという展開になりそうです。
ただしsuper premierなので、ここまでのpremierをスキップしてここでの一発に賭ける選手、安全圏だがバリューや試合勘の為に出ておく選手も予想されます。 これはもう実質的にCPTオールスター戦、選手たちの全身全霊を賭けた戦いが繰り広げられることとなるでしょう。
ちなみにCapcom cup会場はロサンゼルスで、残り1枠を競う最終予選も行われます。 いわば上位31名がいない中での大会なので選手たちの「ワンチャン感」は増します。 これはもう残りのメンツでオンリーワンになれるか、この日に実力と運が最も強かった選手が勝つという戦いです。
最後に
CPTは他のツアーポイント系のスポーツと同様に、上位入賞にポイントが偏重しています。 1回の優勝やそれに近い成績が強烈なジャンプアップにつながる世界です。
しかし、ダブルイリミネーション方式のトーナメントや格ゲーの実力差は、そう簡単に崩れないことは今までの結果で証明されています。
だからこそ、それが崩れた時に観る者は驚きやカタルシスを覚えて興奮します。 セットアップは興行の面白さの一つです。
また、強者が強者として結果を残すことにも賞賛を送りたい。 これを「しょーもねえ」「つまんねえ」で終わらせるのは、さすがに浅いと敢えて言っておきます。
FGC(Fighting Game Community)をベースとする格ゲーは、プロプレイヤーと一般プレイヤーの距離感が近い一面があり、良い点も悪い点もあります。 だからこそ安易に自分の感情だけで言葉を吐くのではなく、同じゲームを遊ぶプレイヤーはもちろん観戦勢も、日ごろの鍛錬で実績を重ねて結果を残した選手には、素直に賞賛を送って欲しいものです。
それでは残り約4割となったCPT2019、引き続き楽しめればと思います。
オマケ:試算用Excel
前回と同様、試算に使用しているExcelを置いておきます。 関心のある方は覗いてみてください。
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