TOP8 Winnersセミファイナル/Loosers5回戦
「日本対ノルウェー対、“アメリカ東海岸”」
4人のWinners、ふ~ど(日本)、Phenom(ノルウェー)、Punk(アメリカ)、iDom(アメリカ)。
4人のLoosers、ときど(日本)、ネモ(日本)、マゴ(日本)、まちゃぼー(日本)。
「こいつらが戦ったらどうなっちまうんだ!?」「あいつに勝てる奴いるのか?」「頼む、お願いだから勝ってくれ」といった応援する者たちの想いが、大会を面白くする。
そんな見る者たちの思いの集合体が、この4人のWinnersセミとして現れました。
Punk 3-0 Fuudo
Phenom 2-3 iDom
ふ~ど選手のミカ/バーディー、Punk選手のかりん/春麗/他という使用キャラの状況でブラインドピックされた結果、バーディー vs 春麗に。春麗有利と見られているPunk選手のカウンターピックがはまった形です。
しかし、Punk選手のメインはかりんであり、春麗はサブキャラ。はたして結果は?と思いましたが、使用キャラと取得ラウンドは……
春麗 2-0 バーディー
春麗 2-0 ミカ
春麗 2-1 バーディー
文句なし。終わってる。あのふ~ど選手が完全に処られました。
なお、シーズン5では春麗強化との噂もあり、さらにPunkが強くなってしまうのでは……。
Phenom vs iDom戦は、仕上がってるかりんと仕上がってるララの戦い。
クラップ発動前を差すかりん、確実にコンボでダメージを重ねていく。
ララは隙あらばEXサンセットホイール。スタン時のダメージは即死級。
差し合い五分の接戦に見えましたが、これまでのiDom戦同様にララ中心に試合が周り最後は圧巻のPerfectを決めました。
14秒P勝利って……減りすぎです、ほんま。
Tokido 3-1 Nemo
Mago 3-1 Machabo
Loosersはすべて日本人対決。ときど vs ネモ戦、マゴ vs まちゃぼー戦は、瞬時に現れる状況に対して“引き出しの広さ”を競い、それを正確に出せるかの争いでした。
差し合いや飛びvs対空→ダウン→起き攻めといった一連の流れの中で、時にセオリー通りだったり、時に意外性を見せたり、の読み合い。いかにも上位日本人選手同士らしい戦い。
例えばマゴ vs まちゃぼー戦で言えば、かりんの差し合いから一連のコンボとネカリの起き攻めからの択、そういった期待値を争うリターンの取り合い。
わちゃわちゃして勝ちたい気持ちが出る試合がどうしても見ていて面白いですが、こういった技術と読みのせめぎ合いは見応えがあります。
Loosers準々決勝「聖戦は再戦するか」
Winnersから降りてきたPhenom・ふーど選手に、ときど・マゴ選手が当たるLoosers Quarter Final。これは「Re:ときマゴ聖戦」をかけた戦いでもありました。
しかし、結果は
Fuudo 0-3 Mago
ふ~どバーディーに対し、マゴさんのキャミィを使用した完勝は見事でした。
あのマゴさんが2キャラ使いこなしてここまで勝ち上がるとは! と言うのがもはや失礼なほどの強さ。
一方、ときど選手はPhenom選手に敗れました。
しかし、この一戦が本当にヤバかった。過去戦績ではときど選手有利、マゴかりんとの対戦も豊富で圧倒するのではとさえ見ていました。
実際、2-0の1ラウンド先取と完全勝利までリーチをかけたのはときど豪鬼。
しかしPhenom選手が仕上がったかりんからネカリにキャラを変える英断。
Phenomネカリの腹をくくった粘りは凄まじく、一気にセット2-2のラウンド1-1のフルフルにまでたどり着く。
ストーリー抜きの純粋な1試合で言えばこの一戦がCCのベストマッチだったと自分は思っています。この最終ラウンドはぜひ見て欲しい。
自分もよくこの言葉は使いますが、本当に「死闘」。
Re:ときマゴが見たかった、という思いもこの一戦の素晴らしさが上回りました。
Winners決勝/Loosers準決勝~決勝「ラストサムライ、散る」
ここはあえて冷静に結果だけを先に。
Punk 3-2 iDom
(Loosers Semi Final)
Phenom 3-1 Mago
(Loosers Final)
iDom 3-1 Phenom
Punk vs iDomのアメリカ東海岸対決で見えた最大のポイントは「ポイズンidom」。
ララで1本取られるもポイズンを出して2本取り返すiDom。
しかし、ようやく対応できたPunkかりんが2本取り返した形です。
この日は常に不機嫌そうな表情のPunkも、この勝利には喜びを表していたのが印象的です。
そしてマゴさん、散りました。
結果的に日本を背負う立場となった“心のマゴ”も、あの死闘から勝ち上がったPhenomの前にかりんミラー戦で倒れました。
内容としては立ち回りはマゴさん微有利も、ここぞという飛びやドット勝負でPhenom選手が上回った形です。ミスや弱気など無い、互いのベストで勝敗が決しました。
マゴさん、日本人最高位の4位でフィニッシュです。
CPT不調でCC出場も危ぶまれた8月まで、それが9月からここまで駆け上がるとは予想できませんでした。マゴさん、サーセンでした! 心のマゴ、見せていただきやした!
そして、iDom vs Phenom戦、ララvsネカリです。
これはララのララっぷりが存分に出た試合です。
特に試合最初のラウンドが象徴的でした。
ほぼPhenom勝ち状態からの「Phenom、後ろ後ろ!」
もうこの時には、ララのしゃがみ肘が当たったら最後、というプレイの極りっぷりでした。
グランドファイナル「最強は、アメリカ東海岸にいた」
iDom選手はアメリカ東海岸の対戦会「NLBC(Next Level Battle Circuit)」で活躍し、CPTの参加大会こそ多くないですがTOP8率が高いプレイヤーです。しかし、PunkとはこれまでのCPTで何回も対戦し、ことごとくPunk選手が勝っています。
そして接戦ながらWinners Finalでも3-2でPunkの勝利。
いくらiDomが唯一無二の最強ララとしてここまで仕上がっていても、今日のPunkには勝てないと思っていました。
iDomはララ、Punkはこの日初登場のキャミィをピック。
春麗だけでなくキャミィまで使いこなせるのか、この格ゲー星人は……。
Punk(Winners) vs iDom(Loosers)
Set1:キャミィ vs ララ
○-×
×-○
○-×
Punk 1-0 iDom
試合開始後すぐに分かりましたが、Punkキャミィが舐めプでも何でもなくガチのカウンターピックと分かります。ハメコ。氏の解説によればポイズンにも有効とのこと、対戦歴が長いからこそ選べる勝負のピックでした。
○-×
○-×
Punk 2-0 iDom
CC見ていた人たちは、思い出してください。
この時点で2-0でPunkのCC優勝リーチだったんですよ。
それにPunkの表情は決して緩まず、「白い歯」なんて見せていない。
しかし。
×-○
×-○
Punk 2-1 iDom
Punkキャミィのスパイラルアローが当たらず反撃、とiDomがダメージレースに勝つ展開が出てきます。
ここで、Punkはキャラをかりんに変更。とても理に適っています。
いわばこの試合、この大会のクローザー。
キャミィで2本取れれば十分、少しでも不安があればかりんに変更できる。そして、iDomは後がなく、この試合ではかりんのカウンターであるポイズンへのキャラ変更ができない。
この冷静さ、むしろこれによりPunkの勝利はさらに近付いたと思いました。
Punkは改めてあと1セット。
×-○
×-○
Punk 2-2 iDom
差し合い、暴れ、飛びが決まり、ララのコンボがかりんをなぎ倒す。
噛み合っただけだ、少し噛み合えばララがあっという間に試合を持っていくなんてよくあることだ。
そう思いましたが、ここでPunkの表情から不遜が消えたように見えました。
Punkが真面目に考えて悩んでいる。
普通のプレイヤーならば、不遜で相手を見下したような態度より、真面目に試行錯誤をして戦う方がいい。
しかし、お前はPunkだ。
最後まで不遜な笑みを浮かべて
当たり前のようにヒット確認を決め
ガードを固めた相手を投げまくり
日和った暴れを手痛く咎めて圧勝する
それがPunkだろう?
EVO2017の涙はみんな知っている。
だからここで勝ってみせてくれるんだろう?
そんな思いで見守っていました(偏ってスンマセン)。
もちろん、客観的に言えばダークホースであるiDom選手の粘りは劇的、試合としては面白すぎます。それは分かるのですが。
そして。
×-○
×-○
Punk 2-3 iDom
流れなんて無い、流れなんて無い……そんな思いをぶち破り、iDom選手がPunk選手を破りリセット! 両者Loosersとなり、GFリセット正真正銘CC最後の試合へと続きます。
この試合ではラウンド状況も記述したのは理由があります。それは、ラウンド勝敗だけ並べると
○-×
×-○
○-×
○-×
○-×
×-○
×-○
×-○
×-○
×-○
×-○
iDom選手の6ラウンド連続勝利、あまりに劇的であり追い込まれる立場は苦しすぎる。
流れなんて無い、なんて言い方をしましたが、流れはあります。
それは選手心理の変動が行動に現れた結果であり、決してオカルトではありません。
自分の強さを確信しながら、決して油断せず相手を倒す。
技術や反応といったプレイにだけ頼らず、キャラ選択の戦略性も怠らない。
そしてこうやってCCのGFまで無敗で来ました。
天才の思考は分かりませんが、自分が想像したのは
「なぜ2本取ってあと1本で優勝なのに逆転される?
何が悪い? 俺が悪いことをしたか?
誰もが俺が勝つと思っていたろ? 俺も思っている。
ここで負けるわけにはいかない。今回こそ俺が勝つんだ。
逆転でギャーギャー騒ぐんじゃねえよ。
俺はこのCCで勝たなきゃいけねえんだよ」
かなり勝手な想像ですが、この時にPunkの中で過去も含めていろんな思考がめぐっていたのは間違いないでしょう。
一方、iDomには迷いがまるで感じられない。
負け続けて負けて当たり前の相手。このチャンスをものにしたい、といった気負いも感じられずただ画面に、目の前の試合に集中している。
GFリセットの最終試合は、その背負ったものの差がプレイに現れたのではないでしょうか。
Punk(Loosers) vs iDom(Loosers)
Set1:かりん vs ララ
×-○
○-×
×-○
Punk 0-1 iDom
7ラウンドぶりにPunkがラウンドを取り返すも、Vリバを捨てたVトリガー発動、普段なら出るヒット確認が出ない、など動きが怪しい。
ラインを押すiDomは確実にチャンスをものにし、サンセットホイール、EXサンセットホイール、クラップからの追い込みでこのセットも奪いきる。
観客は無情、ほとんどの人間がiDomの大逆転劇を望み歓声を挙げてPunkのメンタルを追い詰める。
×-○
×-○
Punk 0-2 iDom
Vトリガーからのクラップでラウンドを取り切るiDom。
コマ投げをかわし端に追い込むも、後ろ投げを出してしまうPunk。
普段と違うわずかなミスがララ相手に致命的となり、ラウンドを取られてしまう。
まさかのiDomリーチ、こうなった時のPunkへのプレッシャーは想像したくない。
自分なら手が震えてプレイすらできないだろう。
×-○
○-×
○-×
Punk 1-2 iDom
iDomが1ラウンド先取で優勝へリーチ。
しかしPunkは次ラウンドにコマ投げをバクステしてからの咎めで体力リード。ララのVトリガー発動に対して距離を置いてクラップに対するリスクを抑え、ここぞの飛びでラウンドを取り返す。
ラウンド3、まだヒット確認が出ないPunk。しかし、それ以外の立ち回りは冷静さを取り戻してCAフィニッシュ、ようやくセットを取り返す。
おかえり、Punk。
そう思ったところで、iDomが動きました。
GF初戦で、Punkはキャミィ2勝の後にかりんをクローザーとして投入しました。
それに対し、iDomはララ2勝の後で……
ポイズンを投入!
ララの動きに対応し始めて自分の動きも取り戻しつある、復活の兆しが見えたPunkに対してポイズンでこれまでの流れを切る。
試合に集中してひたすらに勝利を目指すiDomの、Punkにとってはあまりに残酷な選択。
これが勝負であり、対戦数の多い二人だからこそ起こりうるキャラ選択の戦略性でした。
そしてこのセットは
○-×
×-○
Punkが1ラウンド先取。
しかし、Punkは帰ってきてなかった。最後までヒット確認は治らず、ポイズンの鞭がかりんの体力を奪い、2ラウンド目を取り返す。
そして……
○-×
×-○
○-×
Punk 1-3 iDom
GFリセットのラストがポイズンの勝利に、CC2019の覇者がララ&ポイズン使いのiDomになるとは、誰が予想したでしょうか。
もしiDom自身が予想していなかったなら、誰もいなかったかもしれません。
いくらキャラクター的に対策されにくい状況だったとはいえ、あの唯一無二、世界全一のララは文句なし。会場もニュースターの誕生に最高の盛り上がりでした。
試合終了後のPunkに、iDomを称える笑顔があったのは本当に良かった。
アメリカ東海岸、NLBCの盟友の勝利を祝うマインドがPunkにはあった。
この日、Punkを唯一倒せる男はidomだった。そう思えたのかもしれません。
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